梨を食べた後、紗希とあたしの部屋へ来た。


「神波くんのこと?」


「えっ…」


「バレバレ。

いつもなら啓介の前でも言うでしょ。

わざわざ部屋にってことは神波くんのことでしょ?

たぶん、啓介も気づいてるよ。」


「え!うそ!」


「神波くんには言わないから平気だよ。」


「ならよかった…。

あのね、なんかへんなの。」


あたしは昨日のことを鮮明に話した。


「簡単じゃん。

好きなんでしょ?神波くんのこと。」


「………好き?」


「そ、恋よ、恋。」


恋……………。



「え!?これが?恋?」


「だってドキドキするんでしょ?

意識しちゃうんでしょ?

緊張するけどそばにいたいんでしょ?

恋じゃん。


他の男子なら緊張してそばにいたくないんでしょ?

でもそばにいたいんなら好きなんじゃん。

ってか絶対好きだよ。」


「……そう、なんだ…。」


恋かぁ…。

なんかそう思うとすっきりしたかも。


「うん、碧のこと好きなのかも。」


「神波くんは競争率高いんだから頑張りなよ!」


「や、でもさ、碧好きな子いるんだよね。」



「関係ない。

好きなら本能のまま動くべきだよ。

もしかしたら芽依のこと好きになるかもだし、

そもそも好きな子って芽依って可能性も0じゃないよ。」



「え、だって碧は1年の頃から好きなんだよ?

あたし喋ったこともないし。

あたしではないよ、絶対。」



「まぁ他の子のことが好きでもさ、

芽依はチャンスなんだから頑張りなよ。


こんな近くにいるんだから。」


「………まぁ…頑張ります…。」


「じゃ、下行くよ。

あたし啓介と行きたいとこあるし!」


「えぇ!?もう帰るの!?」


「だって話聞いたし。

あたしたち邪魔じゃない。

二人っきりにしてあげる。」


紗希はそう言って先に部屋を出ていった。


………仕方ない、あたしもいくか。