コンコン………
「碧、あたし。
入るね。」
あたしは碧の部屋へ入った。
「碧。」
「芽依、俺さ芽依のこと好きでここに残ったんだ。
もちろん啓介や他の友達だって大切だけど
俺は芽依にまだなんにもできてなかったから。
でも芽依と付き合ったらさらに離れられなくなった。
結局これなら……夏にいけばよかった。
俺、ここにいたいのにな。」
碧は切なそうにそう言った。
「碧、あたし大丈夫だよ。
だからさ、行きなよ、福岡。」
「……なんで」
「だってね、碧。
親といられる時間の方がこの先とっても短いんだよ。
今だけだよ、甘えられるの。
本当に碧と暮らしたいんだよ。
たとえ1年でも。
あたしは碧と離れても大丈夫。
碧があたしのこと好きなの知ってるもん。
ずっと会えない訳じゃない。
大学に受かったらまたここに戻ってきていいって。
だから、大丈夫だよ。
碧もいったじゃん。
学校が違うなんて関係ないって。
あたしのこと、1年半待てたんだもん。
あと1年くらい、大丈夫だよ。」
あたしは泣きそうになったけど
あたしが泣いたら碧は行けなくなるから
必死に耐えた。


