「好き、だよ」


彼の手に顎を持ち上げられ、すぐに唇が重なった。

柔らかくて甘いキスの余韻が、私たちを包み込む。


「中古も誰にもやらない」


ドクドクと速まる鼓動。
互いに目が合わせられないのは、照れくさいから。


「お前はずっと俺のものな」

「結城君……」


私の頭に手を置きガシガシと撫でる彼は、「結城君じゃなくて、龍平だ」とつぶやいた。

彼に『茜』と呼ばれると、心臓が飛び出しそうなほどうれしい。
でもいざ自分が言えと言われると……。


「ほら、練習してみな?」

「えっ……」

「はい、どうぞ」


彼が腰を折り、私の顔を覗き込むから、目が泳いでしまうけれど……。