避暑地としては最適な湖畔のログハウスに着いたのは、夕方も終わろうとしている頃だった。

 湖は夜の闇に塗られて黒く光り、風は冷たく吹きはじめていた。

 初夏とはいえ、この辺りの気候はまだ肌寒い。

 時折、奇妙な鳥の鳴き声が辺りに響き、風に揺られた木々が耳障りな音をたてている。

 観光客はまばらで、どちらかというと閑散としていた。

 にしても、若い男女にしてみたらそんなことはなんの問題にもならなかった。


「へー、なんか雰囲気あっていーね。ちょい寒いけど、避暑地ならではだよねきっと」

 くーっと腕を高く上げて背伸びをしたのは、小泉春麗(こいずみしゅんれい)だ。

 黒髪ツインテールに赤いリボン、眉上で揃えられた前髪、垂れた大きめの瞳にピンクのチーク。
 一年中ミニスカートというスタイル。見た目は小柄で癒し系だ。


「っはー、疲れたねー。てかあたしたち運転してないけどさ」

 続いて車からおりてきたのは、川上メイ(かわかみめい)だ。

 細身の体にはスリムパンツ。大き目のパーカーにスニーカー。茶髪の髪はポニーテールにまとめられている。
 きれいな顔に少しつりあがっている目が印象的だ。性格もさばさばしていてリーダー気質でもある。