眉をひそめた彼女に言ってみた。 「……音痴」 彼女はあたしの手首を痛いほど握りしめたけど、なにも言わなかった。 歌をつづける。 今度は日本語の歌詞で。 意味の違うふたつのヴァージョンは、どちらも宮川さんの心を投影したものだ。 重なりあう声が校門をくぐる。 あたしは振り返った。 ひとりで先に大人になってしまった宮川さん。 いつかあたしも大人なる。 宮川さんの友達達も。