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そして無事に合宿は終わり、季節は巡ってあたしたちの弓道の練習内容も難しいものに変わった。

基礎練だけじゃなく、技術向上まで必要になって、大変だけどすごく充実した日々。



実際に的に向かって弓を引く頃には、あたしたちの関係は部員以外のクラスメートなんかにも知られるようになった。



部活中はアッキー……紡の矢が綺麗に的に中る(あたる)たび、



『いいよなぁ、アッキーは的だけじゃなくて好きな女の心まで射ることができてなぁ』



なんて、そんなふうにからかわれ、もう鉄板ネタ。

共に過ごすだけで冷やかされる毎日に、ふたりして反応してしまうものだからみんな面白がってしまう。



それが恥ずかしくて、いやで、互いにツンケンしてしまって。

だけどやっぱり気になってしまい、ちらりと視線をやっては目が合い。

相手の物言いに苛立ちながらもどきどきして。



ああ……とても、贅沢な時間だった。