頬と言わず顔全体、耳まで赤く染まった彼の姿に気を利かせたつもりか、部員が「先に戻ってるね」と立ち去った。

アッキーもお風呂あがりのようで、髪はまだわずかに湿っている。



あたしたちの間に沈黙が生まれた。

自然と視線は下がり、前髪がはらりと落ちる。



そして、ようやくアッキーがその、と声を漏らす。

その反応に自然と肩が揺れた。



「……付き合う?」

「え?」

「俺も……お前のこと、好き、だから」

「っ!」



不器用に切り出された交際はあたしがのどから手が出るほど欲しかったもの。

ずっとずっと、アッキーのことが、欲しかった。



なにより彼の言葉や表情が、特別な想いが自分に向けられていることを実感し、それが嬉しかったから。

いつもなら強がったり、可愛くない反応をしてしまうあたしも力が抜けたように目尻を下げる。



あたしはうん、と静かに頷いた。

アッキーは珍しいことに、柔らかく笑っていた。