『あのさ。さほりちゃんはなんで抵抗しないの?』まりちゃんが私に尋ねる。

『だ、だってさあ、こ、怖いじゃん。りみたち何するかわからないし。ま、まりちゃんが特殊なだけだよ。』

ガタガタ震えている私を見てまりちゃんは、

『さほりちゃんはあの人たちおかしいと思わないの?』

『えっ』

『人のこと傷つけてさあ、あいつらケラケラ笑ってんだよ?』

『それがいじめでしょ?』

『うん…。でもさあ、いじめひとくくりでいいのかなあ。』

『あのさあ、まりちゃんの言いたいことがいまいちわからない。』


『あ、ごめんね。ちょっと昔のはなししていいかな。』

『うん。』

真剣な眼差しのまりちゃんに『ううん。やだ』とは冗談でも言えなかった。

『私ね、前の学校でねいじめにあってたんだ。』

『ま、まりちゃんそれどういうこと?』

『クラスのボスの渡邉真梨子だっけな、そんな名前の人からさ。真梨子は、私転校してから知ったんだけど、私の腹違いの姉だったんだって。真梨子は幼い時から教えられていて、私と同じクラスになった時からすぐにいじめ始めた。みんないじめにあいたくなかったから無視してた。でもね、桜沢美郷ちゃんが、『真梨子ちゃん。まりちゃん嫌がってるからやめてあげなよ』って言ってくれたの。そしたら見事私に対するいじめはなくなったんだ。でもね、その………』

『ま、まりちゃん?』

ボロ泣きしているまりちゃん。

『その…美郷ちゃんは、美郷ちゃんがいじめにあいはじめたの。私ってダメだなって思ったよ。恩を仇で返してるなって。助けてあげたかった。』

『まりちゃん。』

『その頃さ、父親の転勤が決まってこっちに来たんだけどね。』

『うん…。』

『私は美郷ちゃんを助けてあげられなかった。私が転校した次の日美郷死んじゃったんだ。』

『私後悔したよ。どうせ転校するなら助けてあげればよかったって。見てみぬふりは最悪だなって』

『まりちゃん大丈夫?』

『私は美郷ちゃんで後悔した。だから今!あなたを助けたい。』

『まりちゃんありがとう。』

『だから、頑張ろうね。』

『うん…。』