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車内に残された誰もが動く事ができなかった。


みんな、開けられたままの窓を唖然として見つめている。


ついさっき、澪がこの暗闇の中に吸い込まれていった。


その事実があまりにも衝撃的で、口を開く事さえ難しい。


澪の体は一瞬にして闇の中に溶け込み、足音も聞こえてこなかった。


「嘘……だろ?」


そう言ったのは優志だった。


優志は青い顔をして小刻みに体を震わせている。


「自分から出て行きやがった……」


朋樹が呟く。


「大丈夫……だよな?」


旺太が暗闇に目を向けてそう言う。