「でも、ここにはちゃんと重力があるわ」


愛奈がそう言い、その場で飛び跳ねて見せた。


「重力がある状態で筋力が統一される空間……か」


旺太は呟き、左右に首を振った。


そんな難しい事考えたってわからない。


この中で一番頭がいいだろう、澪もさっきから困った顔をしている。


「たとえば、このどこかの金持ちがこの空間を作って、俺たちが実験台にされてるってことはないか?」


朋樹が予想外の言葉を発した。


「実験台!?」


優志が青ざめて朋樹を見る。


「たとえば、の話だ。なにも知らない俺たちがここでどんな反応を見せるのか、どんなふうに生き延びるのか。それを見ている人間がいるかもしれないってことだ」


「だとすれば、監視カメラがどこかにあるかもしれない」


愛奈がそう言い、天井を見上げた。


あたしもつられて視線を上げる。


天井にはエアコンと電気が設置されているだけで、特に変わった部分はない。
それでも念の為、あたしと愛奈は椅子に上がって天井を確認した。