「愛奈、しっかりしろ!」


そんな言葉が聞こえてきてふと気が付くと、電車の中にいた。


さっきまでの虐待と同じように、あたしの舌は切断され、大量の血が椅子についているのが見えた。


でも、母親の姿はそこにはない。


あぁ……。


そうだった。


あたしはもう、死んでいるんだった。


あの日、あの狭い部屋の中で……。


あたしは残っている穂香と旺太を見た。


「思い出した! 思い出した思い出した思い出した!! 思い出したらダメなのに、外へ出るしかないのに!!」


どうして自分がここにいるのかを。


あたしは狂ったように床に頭を打ち付けた。


澪や旺太はこんな苦痛を味わう前に、自分から外へ出たんだ。


でも、あたしは遅かった。


外へ出るタイミングがずれてしまった。


だから、もう……この中で、死ぬしかない。