「俺さー、実は卒業してからもたまに文化祭とかあるって聞くと行ってたんだよ。
で、一昨年くらいも行ったら、高校で行事があるときにメールで教えてくれるっていうサービスみたいのが始まってて、知らない先生にすげー熱心に勧められたから登録したんだけどさ。
そしたら昨日、文化祭があるってメールがきた」

「それ多分、本当の目的はそこじゃないですよね。甲子園とか、そういうのに出場が決まったとき、カンパ頼むとかその辺が本音っぽい」

数年前、母校が甲子園に出場したとき、確か実家にひとくち三千円の寄付用紙が送られてきたことを思い出す。

そのとき、寄付用紙を送られたところで寄付するひとってそんなに多くはないだろうし、送料のほうが高くつきそうだし、メールに切り替えたほうが賢明なんじゃないかな、と思ったのが懐かしい。

平沢さんから聞いたメールサービスを聞く限り、どうやら学校側も同じ考えだったようだった。

とはいえ、そんなサービスに登録する人なんて限られるだろうけれど。

平沢さんみたいにお人よしのお祭り好きじゃなければ、いくら母校とはいえ、そうほいほいとまず登録しないと思う。

「それは俺も思ったけどさ、でも、文化祭とか高校に行ける行事教えてくれんのは魅力的だし、楽しそうだと思って」

ドリアの付け合せにするつもりなのか。
平沢さんが冷蔵庫からレタスを取り出しながら言う。