「だからって・・・!!」

「アイツが生きている以上、どんどんと世界が死んでいく。いい加減に倒してしまわなければ、この世界は生き物が何一つない闇の世界になってしまう。幸い俺もヴァイスも魔法を使える。俺達に付いてきた以上ジェイクにも命を張ってもらう。・・・そしてリオン、お前もそのフルートで・・・」

「無理だよ・・・。まだあの曲が吹けない・・・」

「その日が来るまで、なんとか練習してくれ。・・・頼む」

「・・・っ」

私に何が出来るっていうの?
楽譜がなければ曲もまともに吹けないこの私が。
皆が戦っている時に楽譜広げて吹ける訳ないじゃないの。

色々な感情が入り混じって身体が小刻みに震え、知らない間に涙が頬を伝う。

「大丈夫ですか?リオン」

ジェイクがそう声を掛け、肩を抱き引き寄せる。
その時ウェインの表情が一瞬曇ったが、すぐに視線を逸らし舌打ちをすると、部屋を出て行った。
慌てるようにヴァイスもウェインの後を追っていなくなり、部屋には私とジェイクだけになった。