「ウェインさま、しゅっぱつされるのですか?」

「ああ。準備が終わり次第出発する」

「そうですか、ではわたしも」

「いや、リリスはここに残り、人々を守ってくれないだろうか?ここにいる方が君は楽しいだろう?」

「え・・・?い、いいのですか?ウェインさま」

「お前の楽しそうな顔を見ていたら、無理矢理になど連れてはいけない。その代わり、君の魔法でこの国の人達を守ってくれ、よろしく頼む」

「わかりました!このいのちにかえて、かならず守りますっ!」

ぱあっと明るい顔をし、ウェインに敬礼のポーズをすると、また駆け足で戻っていく。
その後、遠くの方できゃあきゃあという、子供達の声がした。
多分残ってもいい、とウェインの言葉を報告でもしたのだろう、その声はとても明るくてにぎやかだ。

「俺の国に、リリスと同じくらいの子供はもう誰も残ってはいない。リリスにとってはここにいる方が一番いいんだ」

伏し目がちに、ウェインはそう呟く。