だけど、もしかすると何か飲まされて眠らされてしまったのかもしれない。


緊張していた杏里がこんな短時間で眠ってしまうなんて、おかしい。


あたしはもう一度家のチャイムを鳴らした。


その時だった……。


「純白?」


聞きなれた声が聞こえて来て、あたしは振り向いた。


「颯……なんで……?」


両手にナイロン袋を提げた颯が、そこにいたのだ。


「洗濯物をしに帰って来たんだ」


そう言い、颯がナイロン袋の中の衣類を見せてくる。


「そうじゃない! なんで颯がここにいるの!?」


叫ぶようにそう聞くあたしに、颯は首を傾げてあたしをみる。


画面上にはマスクを付けた颯が写っている。


颯の部屋も写っている。


ここに颯がいるはずがないのに……!