足を前に出そうとしても、影が動こうとしないからあたし自身も動けない。


パアァー!!


と、大型トラックのクラクションの音が鳴り響く。


あたしは体を動かす事が出来ず、目だけでそれを見ていた。


一気に距離を詰めるトラック。


あたしの体は衝撃と同時に大きく吹き飛ばされ、強く地面にたたきつけられる。


振って来たあたしに驚き、後ろにいた自動車がブレーキを踏む。


しかし遅かった。


あたしの体はまたはねられ、今度は車の下敷きになった。


骨が折れる音が聞こえる。


肉が裂ける音が聞こえる。


体中が焼けているように痛い。


その瞬間……影が伸び、あたしの体を覗き込んだ。


その影は希彩ちゃんの顔をしていて、あたしを見るとニヤリと笑ったのだった。