怖い短編集

私は恐ろしくて、

何も考えずに

車から飛び降りていた。








あの死んだはずの浩史が

恐ろしくて、

血まみれのあの手が

私に触れるのが恐ろしくて、

私はもう

車の中にいることが

できなかった。








私は車から降りると、

よろめくよう歩き出した。








そしてそのとき、

私の耳に

けたたましいブレーキ音が

飛び込んだ。