怖い短編集

「お母さん、未来ちゃんは

昔と変わらない

優しい笑顔をしていたの。




未来ちゃんは、

ずっと冷たい海の底で、

私を待っていたの。




25年間もの長い間。




私、未来ちゃんに

さよならを言ってきたわ。




もう私たちは、

別々の世界にいるのだから」






母は、私の話を

不思議そうな顔で聞いていた。






「お母さん、私は今日、

あの海で、

昔の記憶に出会ったの。




未来ちゃんはさみしそうな

顔をしたけど、

私はいつまでも

未来ちゃんと友だちでは

いられない……」





私はそう言うと、

母の顔を見て微笑んだ。






「お母さん、私はもう

辛い過去を振り返らない。




きっと未来ちゃんも、

それを許してくれると

私は思うの……」






〈 さよなら、私の辛い記憶。




さよなら、

大好きだった未来ちゃん 〉






私は心の中で、そうつぶやくと

静かにそっと目を閉じた。