怖い短編集

「暗く細い道に、

急に人影が現れて、

ひき逃げ犯は人をひいた。







おそらくひき逃げ犯は、

辺りを見まわした。







誰もこの事故の目撃者が

いないことを

確認するために。







ひき逃げ犯は、

救急車を呼びたくても

呼べなかった。







ひき逃げ犯は、

酒を飲んでいたからだ。







だからひき逃げ犯は、

何もせずに

その場からいなくなった」








浩史の一言一言が、

鋭い刃物のように、

私の心を切り裂いていった。








浩史は、

何かを知っているのだろうか?







まるであの場所にいたかのような

浩史の口ぶりに、

私は怯えていた。