怖い短編集

私は、

浩史の言葉に落ちつかず、

目を泳がせ、

早く今の気まずい時間が

過ぎて去ってくれることを

願った。








「静香、

お前はどう思う。







歳は三十代前半、

お前と変わらない。







助かる命だった。







でもひき逃げ犯は、

そいつを助けなかった。







静香、

お前はそんなひき逃げ犯を

どう思う?」







「わ、

私は……」








私はそうつぶやいたあと、

何も言えずに黙り込んだ。