怖い短編集

その日、

浩史はいつもより早く

家に帰ってきた。








私は、

リビングのソファーに座った

浩史に

温かいコーヒーを作り、

浩史と向き合って座った。








浩史はコーヒーを一口飲むと、

私に話しかけた。







「昨日のひき逃げの

話なんだけれど……」








浩史が話を始めると、

私の気持ちは、

再び、暗く沈んだ。








「死んでしまった

三十代前半の男性。







オレの知り合いだった……」








私は、

浩史のその言葉を聞いて、

ハッとして浩史の顔を見た。








浩史は、

見たこともないような

苦しげな顔をして、

顔色も悪かった。