「舞子さん、怒ってるぜ」




チョロ助が小声でレスラーに言った。




「当たり前だろ、舞子さん、あれでもきっと、虎男さんのことが好きなんだぜ」




「やっぱりそうだよな。

レスラーもそう思うだろ?」




「思う、思う。

舞子さんは、わかりやすいから」




「あんたたち、何こそこそしゃべってんの?」




そう言って、舞子はチョロ助とレスラーにゲンコツをくらわせた。




「痛っ!」




チョロ助とレスラーはほぼ同時にそう叫んで、不機嫌な舞子に首をすくめた。