「舞子、そんなに怒んなよ。

となりにいたのがたまたま舞子だったから、舞子の話をしただけだよ」




オレがそう言うと、舞子は握りしめた拳を下ろして、不機嫌そうにソッポを向いた。




「虎男だって、ケンカしか取り柄のない出来損ないだろ?

人のことを言える柄かよ!」




「舞子の言う通りだけどさぁ……」




オレはそうつぶやいて、もう一度、ポスターを見つめた。




「もしも、どんな夢でも叶うとしたら、オレは退屈な毎日から抜け出せるんだ。

オレは今の自分とは違うオレになってさぁ……」