「違、うの…」



私はその背中に、聞こえるか聞こえない声を投げた。

聞こえた、と言う合図に、和君の足が止まる。

振り返りはしないけれど、立ち止まった背中に、もう一度、投げつけた。



「もういないの…」



理由があって、両親と暮らしていない私。

そんな私を、小3の頃から育ててくれたおばあちゃんがいた。

そう、いた…。



「和君が居なくなってすぐ…おばあちゃん、亡くなっちゃったの」