「なんで知ってんの!俺、すっげー欲しかったんだ…」
「えへへ…パソコンに履歴がいっぱい残ってたから…」
「いや、これマジで探しても見つからなくて…!ちょっと待って、本気で嬉しい」
和君が好きなアーティストの、フルアルバムDVD。初回生産版はオークションで数百万という値段がつけられるほどで、入手が困難らしい。
私は、中学の友達のレミちゃんがレコード会社に就職し、その伝で売ってもらったのだ。
喜んでくれてよかった…。
私はとても嬉しくなって、ほおが緩む。
そして、自分のてのひらとてのひらをテーブルの下でぎゅっと握りあわせて、口を開いた。
「あのね、和君」
「ん?どうした?」
「もう1つ、プレゼントっていうかね、話があるの」
興味津々な様子で、和君は「なに?」と聞き返してくる。
きっとね、喜んでくれると思うんだ。
だって、私は思わず泣いてしまったもの。
この事実を知った時…
すうっと息を吸ってから、笑顔を浮かべた。
「2ヶ月目…だって」
「……え?」
「子供がね、できたの」
シーン…と、静まり返るリビング。
あ、あれ…?
予想してた反応と違う…?
和君は言葉を失ったように固まり、ただ私を見つめるだけ。