私だって、話してくれたら、一緒に考えたのに。


彼の決意と言葉に、涙はついに溢れた。





「…お前はさ、ほんとお金のかからない子だったよ。何も強請らないし、今の高校だって、特待制度で学費免除だからね」


頭を下げる和君を見つめる和君パパの瞳は、とても優しかった。



「お父さんは、お金を出すことしかできないのに、お金すらださせてもらえなくて…悲しかったんだから」



冗談めかした言い方で、ふっと笑う。



「滅多に頼み事をしないお前のお願いを、断れるわけがないだろう」



笑顔でそう言った和君パパに、和君はようやく表情を崩す。

その顔は、安心したように、笑っていた。



「手続きは全て任せて。それと、返そうなんて思わなくていい」

「でもそれは…」

「これはね、親の役目だ」



最後に、「また…四人で、食事でもしないか?」と付け足した和君パパに、私は何度も首を縦に振った。



「ああ」

「はい、ぜひ…!」



世界が、瞬く間に輝いていく。





「あんなあっさり許してもらえるとはなー…」



和君パパが退院の手続きをしている間に、和君がそんなことを言った。



「和君…!私何も聞いてないよー!」

「へへ…ごめん」



同居だなんて…本当に突然。
私にも教えてほしかったよっ…!


そんな気持ちを込めて、ほおを膨らます。



「あんな場所に、雪を住まわせたくなかったんだ…」

「…っ」

「俺と暮らすのは、いや?」



ほんとに…ずるい。



「…嫌なわけ、ないよっ…」



私だって、和君といたいって…わかってるくせに。

確信犯の和君は、安心したように笑う。




「これで…全部解決かな」



うん。

不安も、何もない。





「雪」


愛しい声が、私の名を呼ぶ。



「好きだよ」



耳元で囁かれた言葉に、私の顔は真っ赤になった。