「…僕も、話があるんだ」
「え…なに?」
ますます出て行ったほうがいいのではないかと思った時、和君のパパは私と和君に、座るように言った。
いても、いいのかな…?
恐る恐る、ベッド前の椅子に腰掛ける。
「和哉には言っていなかったけど、父さんね、再婚することにしたんだ」
え…?言って、なかったの?
随分前にきいた話だったので、和君が知らなかったという事実に驚いた。
「あ…おめで、と…」
驚いている様子で、そう言った和君。
「雪ちゃんには、一足先に言ったよね」
私は、首を縦にふる。
「は?なんで?いつ?」
「雪ちゃんが中学3年生になる少し前、かな」
「…会ってたのか?」
「手紙を出したんだ。ね?」
そう聞かれ、もう一度頷く。
「はい…」
「……は?全然意味がわかんねー」
和君は私たちが連絡をとっていた…と言っても、一方的にいただいただけだけど。
とにかく驚いているのか、交互に私たちをみる。
和君パパはその姿を微笑ましそうに見つめ、ゆっくりと口を開いた。
「父さんね、もう一度、将来を添い遂げたいと思える人に出会えたんだ」
私も和君も、黙って話に耳を傾ける。
「でもね、再婚に踏み込むことが、どうしてもできなかったんだよ」
「……」
「和哉。父さんは、お前からいろんなものを奪ってしまった」
その言葉に、胸がドクンと音を立てた。