和君は二人を呼び出して怒るつもりだったのだろうか。
…まあ、そっか。和君からしても、二人にはいい思いはないかもしれない。
呆れたように溜息を吐いて、私を見つめる和君。
「はぁ…お前のそういうとこ、すっげー歯がゆい」
「…ご、ごめんなさい…」
「でも…そういうとこが、愛しくてたまらない」
……え?
顔を上げれば、困ったように、愛しそうに、微笑む和君の顔があった。
「雪はそのままでいっか。代わりに、俺がこらしめてやるから」
「こ、こらしめる!?」
「そ。雪に何かしたやつは、ただじゃおかねー」
冗談なのか本気なのか、わからない口調。
でも私は、それを冗談と捉えることにして笑う。
「ふふっ、それじゃあ私は、和君が人をこらしめなくていいように、悪いことされないようにしなきゃ」
ニコッと、微笑んで見せた。
「…だーかーら」
「…?」
「そんな風に考えられるところが、好きなんだって…バカ」
なっ…!突然の好きという言葉に、驚いて少し身を逸らす。
「あー、ほんとバカ。あー好きだー…」
「か、和君っ…!」
「ん?なに?」
「そ、そんなさらっと…」
「俺、思ったことは言うことにしたの。今まで酷くした分、雪のことすっげー甘やかしたいから」
和君はそう言って、手を広げた。
「ほら、おいで」
ドキンっと、心臓が高鳴る。
う…ずるいよ和君…。
そんな甘い声で言われたら、拒めない…。
私はそっと彼の元へ寄って、その胸に抱きつく。
「大好き」
耳元でそう囁かれて、もう顔は異常なくらい熱かった。
「さ、残るはあと一つだな」
「あと…一つ?」
「…そ。これはまた明日な」
私は意味がわからなかったけれど、和君に抱きしめられていることが嬉しくて、首を縦に振った。