【完】お前だけは無理。



「ごめんなさい…」



そういえば、お父さんは困ったように口を固く閉ざした。



「お父さん、今幸せ…?」

「…あ、あぁ」



そっ、か…



「よかったっ…」



もう、それだけでいい。



「今の家族を…和君ママを、大切にしてあげてね?」


「私のことも…たまには、思い出してね」と、冗談交じりに笑った。



「和君ママ」


そして、視線を和君ママへと向ける。



「お父さんを、よろしくお願いします…!」


そう言って、私は頭を下げた。



「雪ちゃん…」



和君ママは、瞳から涙をこぼす。

私は、ニコッと微笑んで、再びお父さんに視線を戻す。



「それと…」



一つだけ、言っておかなきゃ。



「お母さんはね、お父さんのことが大好きだったんだよ?」

「……」

「喧嘩ばっかりしてたけど…いつも私に言ってたの。雪が良い子にしてたら、お父さんが喜ぶからーって」



お母さんの言葉を、思い出す。



「いっつもお父さんお父さんって言ってた」



お父さんがお母さんを愛していなくとも、

お母さんは、とてもとても、愛していたんだよ。