「雪、今日さ…人が来るから」



突然、和君がそう言った。



「人…?」


って、誰だろう…?



「うん。多分、もうそろそろくるよ」


その言葉と、ほぼ同時だったんじゃないだろうか。

音を立てて、病室の扉が開く。



私は、目を疑った。


だってそこには、和君ママと…お父さんが、いたから。



「どう、して…」


「俺が呼んだ。…二人とも、座ってください」



和君が…?どうして?


忘れようと、思っていたのに…。



俯きがちの二人は、和君に言われた通り、私とベッドを挟んだ反対側に座った。

呆然と、二人を見つめる。



「本当は、雪にはもう会わせないつもりだったんだ」



和君が淡々と話す。



「でも、俺と雪が共に歩んでいく以上、けじめをつけなきゃいけないだろう?」


「け、ケジメって…言われても…」

「二人とも、雪にいうことがあるんじゃない?」



和君にそう言われた二人は、ゆっくりと顔を上げて、こちらを見つめた。



「…ごめん、なさいね…雪ちゃん。私たちの勝手で、あなたにはたくさん辛い思いをさせたでしょう。それなのに…この前会った時、私たちはあなただって気づきもしないで…最低ね。ほんとうにごめんなさい」



和君、ママ…。

そんな、私、謝ってほしいなんて思ってないのに…。