真っ暗な夜の病室で、電気もつけずに俺はある人へ電話をかけた。 「もしもし…親父?」 『和哉…あの、お母さんのことは、本当にすまな「頼みがあるんだ」 「この街から、出て行きたい」 『…和哉?』 「お願い、します…もう、あのマンションには住めない」 ーー雪のそばには、いられない。 父さんは何かを察したのか、それ以上何も聞かず、ただわかったとだけ言ってくれた。 そして、俺は最低な言葉をたくさん並べて、君の前から姿を消したんだ。