【完】お前だけは無理。



なぁ、俺は一体、雪からどれだけのものを奪った…?


大切な家庭を壊し、父親は行方不明、母親は亡くなった。

全部全部、俺の、俺たちのせいで。



『治る可能性は、ほぼゼロに近いです』


ーー…俺の、せいで


『大きくなったらお母さんになりたい…。子供は2人欲しいくて、旦那さんと…四人で幸せに暮らすの』


夢を語る雪の言葉が、脳裏を過る。



「く……、そっ…!何でなんだよ!!!」



何で……俺は雪からいろんなものを奪ってしまうんだ。


誰よりも笑顔になって欲しいのに…誰よりも、幸せにしてやりたいのに…っ。




「……。っ、は…」


ーーー…何が幸せにしてやりたいだ。



「ばっかじゃねぇ…」



何言ってんだ俺。
無理に決まってんじゃん。


今日言われたこと、もう忘れたのかよ。

俺はもう、雪の夢を叶えてやれない。

俺はこれからも、雪を傷付けて、我慢させることしかできないんだ。