【完】お前だけは無理。


「……なに?俺の顔になんかついてる?」

「ううん。見惚れてたのっ」



…っっ!



「…バッカ!お前すぐそういうこと言う…」


何言ってんのこの子…!

はぁ、心臓に悪すぎるって…!


きっと今俺の顔は、ゆでダコのように赤いだろう。


幸せだった。


雪が隣にいてくれることが。

それだけでもう、何もいらないと思っていた。



雪を世界一幸せにしてやるなんて思いながら、きっと今世界で一番幸せなのは俺の方。


ああ、こんなに幸せでいいんだろうか。


…なんて、思っていたからだろう。




その幸せが、音を立てて崩れ始めた。





キイイイー!!っと、聞いたこともないような轟音が響く。


ーーなんだ?


驚いて振り返れば、一台の自家用車が、雪をめがけて一直線に走ってくる。


目を疑って、一瞬動きが止まった。



「雪ッ…!!」



けれど、俺は本当にとっさに、飛び込んだんだ。

車との衝突を防ぐため、道路横に雪を抱きしめて飛び込む。

地面に倒れた時、雪が頭を撃たないように、自分が下敷きになるように滑り込んだ。