【完】お前だけは無理。




『雪はしないの?ギターとか…』

『私絃楽器は苦手なんだ…弾けなくて…でも、弾ける人はかっこいいよね』



基本的になんでもできて器用にこなす雪が、初めて何かを苦手だと言った気がする。

ギター…か。

雪がピアノで、俺がギターで、
将来、子供のために演奏してあげたり…


なんてことを想像して、顔が真っ赤になる。

お、俺妄想が早すぎるだろ…っ、恥ずかしいやつ…。

…でも、そんなことができたなら、なんて素敵なのだろう。




だって、雪の夢は『素敵なお母さんになること』だから。
いつも言っていた、七夕になると、毎年同じことを。

『素敵な旦那さんと子供は2人欲しいなー』って、幸せそうに。


お母さんに、家族に、恵まれなかった雪だからこそ…俺は彼女に、最高に幸せな家庭を作ってあげたい。

俺の夢は、彼女を幸せにすることなんだから。


…と、なんだか話がずれたが、いろんな経緯があってギターを始めたわけで…

成功して、ホッとする。




その日は一日浮かれていて、雪と帰る時もスキップをしてしまいたいほどだった。

そんな俺がおかしかったのか、帰り道。隣に歩く雪が俺の顔をじっと見つめてくる。