今日は、中学の学園祭。

俺は軽音部に所属していて、友人4人と組んでいるバンドで演奏する。


ステージの真ん前、俺が一番見える席のチケットを、雪に渡していた。

雪には、雪にだけ、見て欲しかったんだ。



「雪っ…!どうだった?」


ステージが終わって、俺は真っ先に雪の元へ駆け寄った。


「すっごくかっこ良かった…!和君、凄い!!」

「ほんとっ…?…やった」



よかった…!
雪のその言葉をきいただけで、練習の日々が報われたと思った。



ギターを始めた理由は、やっぱり雪だった。

俺の家でテレビを見ていた時に、やっていた音楽番組。
熱心に見ているから、ピアノの伴奏者を見ているのかと思ってら、雪はこういった。



『ギターって、かっこいいね…』



え?ギター?

雪はてっきり、絃楽器には興味がないのかと思っていた。