幸せにすると誓ったのに。

俺は、再び雪を泣かせてしまった。



「お母さん…おかあ、さん…」



動かないお母さんを見つめて、雪は悲痛な声をあげる。

その姿が見ていられなくて、思わず目を逸らした。




あの母親は、雪のお父さんを連れて行ってしまったのだ。

そして、それを追いかけた雪のお母さんは、途中事故にあってしまった。



俺は、わかっていたのに…雪から2人がキスをしていたと聞いた時から、こうなることが薄々わかっていたのに…っ。

止められ、なかった。




「雪」


俺が名前を呼べば、雪はゆっくりと振り返った。

その目から流れる涙は止まらなくて、なんてことをしてしまったんだと、自分を責めた。



「どうしよう…お父さんもお母さんも…いなくなっちゃったっ…」

「ごめん雪。ごめんなっ…!」



俺のせいだ…っ。俺の家族のせい。



「どうして和君が謝るの…?」

「もっと俺が、止められたら…」

「和君は悪くないよ…?だから、泣かないで?」



それなのに、雪は俺たちを責めようともしない。

どうしてお前は、そんなに優しいの?


俺はっ…



「泣きたいのは雪だよな、ごめん…」



ーー約束するよ、雪。



「大丈夫だよ、これからは、雪は俺が守るからね。絶対約束…一人にしないからな」



何があっても、俺が守るから。

これ以上、君を不幸にしないから。

雪にふりかかる悪いもの全て、俺が排除して見せるから…っ。


小さな身体を、これでもかと抱きしめて、俺たちは2人で泣いた。




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