【完】お前だけは無理。






その日は、なぜか胸騒ぎがしていた。


雪は4限で終わって、もうすでに帰っている時刻。

俺は6時間目まであるので、あと1時間は学校にいなきゃいけない。


なんだ…

ほんとうに直感だった。


雪が、泣いてる気がしたんだ。



帰りの挨拶が終わると、俺は全力で走って、マンションまでの道をかけた。


いつもは家に帰ってランドセルを置いてからピアノルームにいくけど、今日はそのままピアノルームへと向かう。

いや、気のせいだとは思うけどさ。

いつもみたいに雪は笑って、走ってきた俺を見て和君どうしたの?っていうと思うんだけど…


心配でたまらなかった。



「…ッ、雪…?」



ピアノルームの扉を勢いよく開ければ、そこには暗い顔をしたゆきの姿が。



「…和、君…?」



今にも泣きそうな声で、俺の名前を呼んだ。


雪…?

やっぱり、何かあったのか…?



「…和君、学校は?」


「授業終わって、急いで帰ってきた…。なんか、雪がいる気がしたんだ」



そう言えば、雪は突然、その瞳から涙を零した。