こんな子供に言ったって、わかるわけないだろ。
「…どーせ俺の気持ちなんて、誰にもわからない」
ソファから立ち上がって、部屋を出ようと扉まで歩く。
ドアを開けようと、強く押した時、
「雪わかるよ」
背後から、そんな言葉が聞こえたのだ。
「雪もね、お家にいるのちょっとしんどい、えへへ…」
俺は驚いて振り返った。
視界に映った彼女は、無理をしたように笑っていた。
この子も、同じ気持ち?
そんなはずないと思っていた。
思っていた、というか、始めて会った時、彼女はすくすくと愛されて育ったのだと直感したのだ。
だって、彼女の笑顔は眩しかった。
俺は、あんな風に笑えない。
しかし、そういえばあの時、彼女がとった行動はまるで場の空気を読んだかのようなものだった。
自分が笑って、みんなを和ませなければ。
そんな気持ちすら見えるような、ものだった。
「…そうなの?」
彼女は、笑顔を浮かべたまま首を縦にふる。
何かを感じたんだ。
彼女の笑顔から。
この時はまだわからなったけれど、1つだけわかったことがあった。
彼女は、他の人間とは違う。

