【完】お前だけは無理。



息苦しい空間から逃げ出したくて、家をこっそりと抜け出す。いい場所が見つかって、ラッキーなどと思っていた。



その時、防音用の重たい扉が開く音がした。

驚いてそちらを向けば、そこには一人の女の子が。



…隣の家の、女の子だ。


「和哉、くん?」


そいつは、覚えていたのか俺の名前を呼んだ。


なんだよ、せっかく一人だったのに…。
ピアノの隣にあるソファに座りながら、女の子を睨みつける。


「…何?」


俺がそう言えば、不思議そうに首を傾げた。



「お家に帰らないの?」

「…うるさいな、ほっといて」



お前には、関係ないだろ。



「どうしてお家に帰らないの?」



そう思うのに、しつこく聞いてくる女の子。しまいには俺の隣に座り始めて、うっとうしいったらありゃしない。

家に帰らない理由?
そんなの…



「…家にいたくないから」



勝手に口から溢れていた言葉に、ハッとする。

何言ってるんだよ、俺。