「七夕にね…私、彼と出逢ってから、毎年ずっと同じ願い事をしてました」
思い出して、くすりと笑う。
あの時は、その夢が叶うと疑わなかった。
「ずっと一緒にいれますように……『その人の、お嫁さんになれますように』って」
私の言葉に、何故か和君が顔色を変えた。
一瞬不思議に思いながらも、気にせず話を続ける。
「でも、その人と短冊を書いた時、恥ずかしくて『素敵なお母さんになれますように』って書いたんです。素敵な旦那さんと子供は2人欲しいなーなんて、必死の照れ隠しでした」
和君は毎回、笑顔で聞いてくれたよね。それが、とっても嬉しかった。
思い出すだけで、幸せな気持ちになれるほどに。
「…子供は、いらないの?」
今までずっと口を閉ざしていた和君が、突然そんなことを聞いてくる。
こ、ども…?
どうして、そんなことを聞くんだろうか?
不思議に思いながらも、ぎこちなく笑って見せた。
「…え?…えっと、どちらでも…。好きな人との子供が出来るなんて、凄く幸せなことなんでしょうけど…その人がいてくれれば、それで、それだけでよかったんです」
和君の目が、見開かれる。
その瞳が、途端に色を変えた気さえした。

