【完】お前だけは無理。



奪って捨てる…?な、なんてこと言うんだっ。そんなに、和君のことが嫌いなの…?



「コンプレックスっていうの。だせーけど、なんでもできるあいつに一泡吹かせてやりてーって、ずっと思ってた」

「そんな理由で…」

「…でもね、いざとなったら全然計画通りに行かない。マジで好きになっちゃうし、相手は俺に堕ちてくれないし」



まるで独り言のように、瀧川先輩は空を見上げながら話す。

私とは、一向に目を合わせようとしない。



「…なんか奪う気になれなくなっちゃったんだよね」

「…は、はあ…?」

「俺は、あいつみたいに一人の女を想い続けるなんてできねーわ」



あ、あの、先輩…?

さっきから、言っている意味が全くわかりません。


思わず首を傾げて、パチパチと瞬きをする。
頭上には数え切れないほどのはてなマークが浮かんでいることだろう。

瀧川先輩は、ようやく私の方を見て、クスッと笑う。



「ここまで言ってわからないなんて、雪ちゃんはほんと、鈍感だなぁ」



視線が交わった。

真剣な瞳が、私を捉える。




「行きな」


「どこに、ですか?」


「和哉のところ」



…な、にを…。