「たぶん、あいつも俺を嫌ってる」
初めて知った。二人の真実。
そうなんだ…でも、和君って昔から人とあんまり仲良くする方じゃなかった。
和君の友達だって、一人や二人しかいない。
他人に合わせるのが苦痛だってよく言っていたから、別に瀧川先輩が嫌いなんじゃなくて、そういう態度が普通なんじゃないかな…?
そうおもったけれど、瀧川先輩から出てきた言葉は、それを覆すものだった。
「俺たちね、正反対なんだよ。お互いがお互い、わかりあえないの。考えてることはさ、わかるんだ。自分の考えを鏡に通してみたら、あいつが考えてることになるから」
「……」
「でも、どうしてそんな考えになるのかが、いっつもわかんねー。理解しあえない者同士なんだよ」
なんだか、私にはわからない世界かもしれない…。
男の子の友人関係って、女の子同士とは違うものがある気がする。
難しいな…と思いながらも、瀧川先輩の話を真剣に聞いた。
「でもね、一個だけわかったんだ」
「一個…?」
「どうしてあいつが雪ちゃんを好きになったのか。それだけはね、俺わかるんだ」
言葉を失う。
今、なんて言った…?