先輩とは、二日に一度ほどのペースで一緒に帰っている気がする。
別に待ち合わせをしているわけでも、約束をしているわけでもないけど、彼はなぜかよく教室の外で待っていた。
「ゆーきちゃんっ。帰ろ」
特に断る理由もないので、いつものように並んで歩いた。
「瀧川先輩は、行かないんですか?」
正門を出てすぐくらい。
気になっていた質問をすれば、瀧川先輩は平然とした顔で言う。
「言ったでしょ。雪ちゃんが行かないなら、俺も行かないって」
瀧川先輩もきっと、あの日以来お見舞いに行っていない。
私がいかないならなんて言うけど、私としては行ってあげてほしいのが本音。
「でも…和君は、瀧川先輩にお見舞い来て欲しいと思いますよ?」
だって、二人は友達でしょう?
生徒会長と副会長だし、きっと仲がいいはずだ。
「へっへーん、それはないね」
「どうして…?お二人は仲が良いんですよね?」
「連んでるからって、仲が良いとは限らないよ。むしろ、俺はあいつが嫌いだから」
瀧川先輩が、和君を嫌い…?
そういえば。以前生徒会室で険悪だった二人の掛け合いを思い出した。