「あなたは…たくさん私を救ってくれたの。それだけは、忘れないで」



ーーもう、終わりにしよう。



心臓はまるで押しつぶされるかのように痛いのに、心はとても綺麗だった。

私の中の醜いものたちが、全て涙となって出ていくようで。


病室の中は、まるで静寂。

誰もが声を飲み込んで、音ひとつ立つことはない。


和君は唇も目も開いて、瞬きすら忘れたように私を見つめていた。



「えへへっ…変なこと言ってごめんなさい。私、下のコンビニで飲み物でも買ってきますね」



涙で濡れる瞼を擦って、立ち上がる。

呆気にとられたように動かないみんなを置いて、病室を出た。




病室を出てすぐにある階段を登れば、屋上に出ることができた。

運良く、ここにいるのは私一人。


昨日は雪が降っていたのに、雲ひとつない青空を見つめて、にこっと笑った。



世界はいつだって、私の孤独を際立たせるような演出をする。



「和君、好きだよ」



ぽつりと呟いた言葉は、風に乗って消えた。

だから、もう一度…


「大好きだよ…」


今度は、自分の心に言い聞かせるように。




「ふっ、うっ…」



私は、本当に泣き虫になったなぁ。

最近は、泣いてばかりでほんとうに情けない。

でもね、もうちゃんと前を向くから。