「その時、パトカーの音が響いて、先生が手を緩めたんです。…私、そこから落とされました」
みんなの目が、見開かれるのがわかる。
「…でも、無事だった」
こんな小さな、怪我で済んだんだ。
「和君が…私が落ちてすぐに、自分から身を放り出して庇ってくれたんです。
落ちた時、なにが起きたかわからなかった」
あの時の光景が鮮明に頭の中に浮かんで、それを払拭するように目をぎゅっと閉ざす。
「ただ…和君が、私の下敷きになってて…頭から、血を流して…それで…」
「雪ちゃん、もういいよ…」
私の言葉を遮ったのは、北口先輩だった。
でも、私の口は止まらない。
「俺が帰ってくるまで家にいろって…和君から置き手紙があって、それなのに…私、一人で帰って、それで…先生に連れ去られたんです」
「雪もういいって…わかったから…」
「私が、おとなしく和君の言うことを聞いていれば、こんなことにはならなかったっ…」
私が悪いんだ。
みんな気を使ってくれているけれど、私は被害者なんかじゃない。

