学校へ戻っても、授業どころではない。
私は内容が全く頭に入ってこなくて、ただぼーっと外を眺める。
気を緩めたらすぐにでも涙が流れてしまいそうで、ずっと目に力を入れていた。
和君は、ほんとうに私のことを忘れてしまったのだろうか…。
冷静になった頭で、そんなことを考える。
私以外の全員のことは、覚えていた。
私だけ、私のことだけを忘れたの…?
だったら、どうして?
どうして私だけを忘れたんだろうか。
ーー忘れたいほど、嫌いだったということ…?
でも、ならどうして…助けてくれたの?
和君の考えていることが、私には一切わからなかった。
いつのまにか、放課後はやってきた。
「雪…和哉君のところ、行く?」
瞳ちゃんは、恐る恐るそう尋ねてきた。
私は、縦に首をふる。
「涼介たちが正門のところで待っててって…行こ?」
私はなんとか笑顔を作って頷き、席を立った。
「ごめん…!お待たせ!」
10分ほど待っていたら、北口先輩と瀧川先輩が走ってやってきた。
五人揃って、みんなで病院へ向かう。