後ろからは北口先輩だけが付いてきていて、私は勢いよく病室の扉を開ける。


ーーーバンッ!!


スライド式の扉が開かれて、病室にいる二人の人物が映った。

和君の、パパと…

ーーーー和、君。


ベッドに座りながら、私たちの訪問に驚いたように目を開きながらこちらを見ていた。


…和君だ。



「和、君…っ」



和君が、いる。



「よかったっ…」



駆け寄って、その場にしゃがみ込んだ。

ここまで全力で走ったから、胸に手を当て呼吸を整える。

和君は、そんな私をじっと見つめていた。


その目は、まるで知らない人を見るかのような視線だった。



…?


「和君、ごめんねっ、私のせいでっ…」



気にしないふりをして、1番伝えたかった言葉を伝える。


すると、和君は私を見て困ったような表情を浮かべた。

そして、次に彼の口から出てきた言葉に、私は頭の中が真っ白になる。




「…えっと…どちら様?俺の、知り合いかな?」



ーー神さまは、いつだって残酷。


病室にはいた和君以外の誰もが、言葉を失ったように黙り込む。