【完】お前だけは無理。



「和哉のために来てくれてありがとう。みんな、家まで送るよ」


和君のお父さんが、笑顔で私たちにそう言う。

みんな、どこか納得いかない表情をしていて、口を開いたのは北口さんだった。


「俺たち…和哉が目を覚ますまで、いたらダメですか…?」


みんな、ここから離れたくはない。

和君は手術さえ成功したものの、まだ目を覚ました訳ではないのだから。

心配なのは変わらなくて、みんなで和君パパを見つめる。


「気持ちは嬉しいんだけど、みんな未成年だからね…病室にはいれないんだ。和哉が目を覚ましたら、すぐに連絡させてもらう。約束するよ」


和君パパは、困ったように笑った。

そうだよね…仕方ないよね…。

もう、時刻は夜の9時過ぎ。明日もいつも通りに学校があるから、ここでわがままを通すわけには行かない。


「さ、車で送るよ。行こうか」


そう言って、和君パパは再び笑った。

ふと、思う。

和君パパって、こんなに笑う人だった…?

いつも表情を変えず、クールだった記憶があるから、今更そんなことを思った。


『再婚することになりました』


そう書かれていた、手紙を思い出す。

もしかして、新しい奥さんとの出会いで、変わったのかな…?

和君パパは、今幸せだろうか?