手術中というライトが、音を立てて消えた。

この場にいた全員の姿勢が、いっせいに手術室の扉に集まる。


扉の奥から出てきたのは、一人の男性医師。

彼が口を開いた途端、恐ろしくて両耳を塞ぎたくなる。
その口から、もし絶望的な結果が告げられたら…。

ーーお願い。お願いお願いお願い…。


なんでもしますから、もう悪いことも、絶対に絶対にしませんから…っ。

和君だけは…

和君だけは、連れて行かないで…っ。




「無事に手術は終わりました。今は麻酔が効いて眠っています」


ーーー無、事?

身体中の力が抜けて、その場に崩れ落ちた。

涙腺が切れたように、涙はほんとうに、滝のように流れる。

口元がだらしなく歪んで、ぐちゃぐちゃの顔を隠すこともせずその場で泣き喚いた。


よかった、よかったっ…

ほんとうによかったっ…。


神さま、ほんとうにありがとうございます。


「うわぁあっ…」


私に泣く資格なんてないのに。
全部私のせいなのに、わかっているけれど、もう感情のコントロールなんで出来ない。

病院の廊下に、私の泣き声が響いていた。