「…んなわけねーだろ。仕方ねーから家連れてきて、放置してた」



ほ、放置って…

でも、その言い方がすべてを物語っていた。


私の額には、熱冷ましのシートが貼られているし、和君はここで寝ていた。

彼は、ずっとそばにいてくれたんだ…。



昔も、そうだった。


私が熱を出せば、和君がずっとそばにいてくれたし、

和君が熱を出せば、私がずっとそばにいた。


懐かしくて、嬉しくて、すっと一筋、涙がこぼれる。



「ご、ごめんね…気にしないで」



これは、嬉し涙だから。笑顔でそう言って、溢れる涙をすくった。